親知らずを抜くタイミングは?
〜現役歯科医師が答える「抜歯のベストな時期」と注意点〜
2025.06.10
親知らずを抜くタイミングは?
〜現役歯科医師が答える「抜歯のベストな時期」と注意点〜
日々の診療の中で、患者様からよくいただくご相談のひとつが「親知らずって、いつ抜けばいいの?」という質問です。
歯科医師としての経験と専門的知見をもとに、「親知らずを抜くべきタイミング」について丁寧にお答えします。
1.親知らずってどんな歯?
親知らずとは、第三大臼歯とも呼ばれる一番奥に生えてくる永久歯のことです。
一般的には、10代後半から20代前半にかけて生えてきますが、人によってはまったく生えてこないこともあります。
親知らずには以下のような特徴があります:
- 生えるスペースが足りず、斜めや横向きに生えることが多い
- 手前の歯(第二大臼歯)を圧迫したり、虫歯や歯周病の原因になりやすい
- 歯ブラシが届きづらく、清掃不良による炎症(智歯周囲炎)が起こりやすい
2.親知らずは「必ず抜く」ものではありません
まず最初にお伝えしたいのは、すべての親知らずが抜歯の対象になるわけではないということです。
以下のようなケースでは、抜歯せず経過観察が可能です:
- まっすぐ生えていて、上下の歯がきちんと噛み合っている
- 虫歯や歯周病がなく、周囲の歯に悪影響がない
- 定期的なメインテナンスを受けており、清掃が行き届いている
3.親知らずを抜くべきタイミングとは?
☑ 炎症(腫れ・痛み)が繰り返される場合
「一度腫れて、薬で治ったけれど、また腫れてきた…」という場合は、繰り返す炎症を防ぐためにも抜歯を検討します。
☑ 虫歯・歯周病の原因になっている場合
手前の歯が親知らずの影響で虫歯になってしまった場合、大切な第二大臼歯を守るために抜歯が必要です。
☑ 矯正治療を予定している場合
歯列矯正を計画している方は、事前に親知らずを抜いておくことで歯の移動がスムーズになる場合があります。
☑ 将来的なリスクが高いと判断された場合
一見問題なく見えても、将来的に炎症を起こすリスクが高い位置にある親知らずは、若いうちに抜く方が治癒も早く、術後の回復も良好です。
4.抜歯にベストな時期はいつ?
親知らずの抜歯に最適なタイミングは、20代前半と言われています。
この時期は骨が柔らかく、傷の治りも早く合併症が少ないためです。
とはいえ…
個々の状態(歯の位置・角度・全身状態)によって判断が変わるため、自己判断せず、必ず歯科医院でレントゲンやCTを使った診断を受けましょう。
5.抜歯の前に知っておきたいこと
親知らずの抜歯には多少のリスクや注意点も伴います。
抜歯後に腫れ・痛み・出血が生じることがあります(通常は数日で落ち着きます)
下あごの神経(下顎管)に近い親知らずは、慎重な判断と技術が必要です
術後の食事や生活指導をきちんと守ることで、トラブルを避けられます
当院では、CT画像による立体的な診断を行い、安全性を重視した抜歯を実施しています。
6.まとめ:抜くかどうかは“診断”がすべて
親知らずを抜くタイミングは、「いつ生えたか」よりも「現在と将来にどんな影響があるか」で判断することが重要です。
不安なまま放置せず、歯科医院での精密な診断を受けることが第一歩です。
おわりに
親知らずに関しては、不安や疑問を抱えながらも「まだ大丈夫かな?」と様子見をされている方が多くいらっしゃいます。
当院では、丁寧な説明と個別のリスク評価を行い、患者さまが納得できる選択をサポートしています。
「親知らずについて相談したい」「痛みはないけれど不安」という方も、ぜひお気軽にご相談ください。